どこで、誰が話している?
カンナダ語は、インド南西部のカルナータカ州で話されている。現地での名前は ಕನ್ನಡ(カンナダ)。2011年の国勢調査では、母語の話し手が約4,400万人、第二・第三の言語として使う人が約1,500万人いる。州都ベンガルールはIT企業が集まる街として知られ、カンナダ語はその州の公用語であり、行政のことばでもある。
毎年11月1日は「カルナータカ・ラージョーツァヴァ」。1956年のこの日、カンナダ語を話す地域がひとつの州にまとめられたことを祝う日だ。州の名前がいまの「カルナータカ」になったのは1973年である。
どんな音がする?
母音には短い音と長い音の区別があり、「ア」と「アー」で別の単語になる。舌先をそらせて出すそり舌音もあり、ಟ・ಡ・ಣ・ಳ などがそれにあたる。
書き言葉と話し言葉の差が大きいのも特徴で、話すときには語尾の e が i に変わることが多い。書き言葉の標準は、マイソールとベンガルールあたりのことばをもとにしている。「ありがとう」の ಧನ್ಯವಾದ は、カタカナにすると「ダンニャヴァーダ」に近い。
どんな文字で書く?
使うのはカンナダ文字。母音が13、子音が34、それに鼻音や息の音をあらわす記号2つを合わせて、基本の文字は49ある。子音に母音の記号をくっつけて1文字をつくるタイプの文字で、数字も ೧ ೨ ೩ と独自の形を持つ。
もとをたどるとアショーカ王の時代のブラーフミー文字に行きつき、5世紀ごろのカダンバ文字を経て育った。となりのテルグ文字とはもともとひとつの文字で、2つが分かれたのは1300年ごろとされる。いまでも片方を読める人なら、もう片方もかなり見当がつくほど形が近い。
文法のクセ
語順は日本語と同じ主語・目的語・動詞。名詞のうしろに部品をつけて「〜を」「〜に」をあらわすので、組み立て方は日本語に近い。
名詞には男性・女性・中性の3つの性があり、動詞は主語の性と数に合わせて形を変える。「彼が来た」と「彼女が来た」で、動詞の終わりが違うのだ。
この言語でしか言えない言葉
歴史をひとことで
カンナダ語で書かれた古い碑文のひとつハルミディ碑文は、ふつう450年ごろのものとされる。いまわかっている最古の文学作品は850年ごろの詩論『カヴィラージャマールガ』で、ラーシュトラクータ朝の王アモーガヴァルシャ1世のもとで書かれた。
11〜12世紀には、宮廷の詩とはまったく違うヴァチャナという短い散文詩が生まれた。バサヴァンナや女性の詩人アッカ・マハーデーヴィらが、ふだんのことばで神への思いや社会の不平等を語った。
いま、この言語は
話し手が多く、危機度は「安全」。2008年にはインド政府から「古典語」に認められた。インドで最も権威ある文学賞のひとつジュニャーンピート賞を、カンナダ語の作家はこれまでに8回受けている。
コンピューターの世界にも早くから入っていて、文字の国際規格ユニコードには1991年の最初の版から収められている。毎年11月1日には州のあちこちで赤と黄色の旗が掲げられ、ことばと州の誕生が祝われる。
ことばカード
もし学ぶなら
おすすめの入り口
まずは49の基本の文字を、母音の列と子音の列の表として覚えるといい。子音に母音の記号がつく規則がわかれば、丸い文字も読み分けられるようになる。テルグ文字と形が近いので、片方を覚えるともう片方への近道にもなる。
話し言葉は書き言葉と差があるので、「ホーギ・バンニ」のようなあいさつを、実際の発音で聞いて覚えていくのが入りやすい。語順は日本語と同じなので、文の組み立てには早くなじめるはずだ。
話し手の数は推計で、資料によって幅があります。音声は端末の合成音声で、話者による録音ではありません。