どこで、誰が話している?
スウェーデン語は、スウェーデンの公用語だ。ずっと「事実上の」国語だったが、法律で主要言語と定められたのは2009年の言語法から、と意外に新しい。母語の話し手は約1,000万人、第二言語として話す人も約300万人いる。
となりのフィンランドでもフィンランド語と並ぶ公用語で、国民の約5.5%が母語にしている。フィンランドとスウェーデンのあいだに浮かぶオーランド諸島では、スウェーデン語だけが公用語だ。系統はインド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派の北ゲルマン語で、ノルウェー語・デンマーク語とは、それぞれが自分のことばのままでもかなり通じ合う。
どんな音がする?
スウェーデン語が「歌っているよう」と言われるのは、2種類のアクセントがあるからだ。強く読む音節の高さの動かし方が、アクセント1とアクセント2で違う。ストックホルムあたりでは、アクセント2の単語は一度上がって下がり、また上がるように聞こえる。
有名なのが anden だ。綴りも同じ、音の並びも同じ「アンデン」なのに、アクセント1なら「そのカモ」、アクセント2なら「その霊」になる。こうした2音節語の組は約300もあるという。ただしフィンランドで話されるスウェーデン語の多くは、この区別を持たない。
母音は音色で9つ、長短を合わせると約18。さらに学習者がいちばん苦労するとされる「sj音」がある。sju(7)の頭の音で、「シュ」と「フ」のあいだのような息の音だ。
どんな文字で書く?
ラテン文字の26字に、å・ä・ö の3字を足した29字。この3つは「a に飾りがついたもの」ではなく独立した文字で、辞書では z のあとに並ぶ。w は長く v の仲間扱いだったが、2006年にスウェーデン・アカデミーの正書法辞典で、ようやく独立した見出しをもらった。
文法のクセ
名詞の性は「共性」と「中性」の2つ。そして「その」にあたる定冠詞は、前に置かずに単語のおしりにくっつける。hus(家)は huset で「その家」、bil(車)は bilen で「その車」。さきほどの anden も、and(カモ)に -en がついた形だ。
語順は、ふつうの文で動詞がかならず2番目に来る「V2」。「今日、私は家にいる」は Idag är jag hemma で、「今日」を先頭に出すと、動詞 är がすぐあとに来て主語が後ろへ回る。
呼びかけにも面白い歴史がある。かつては相手を名前や肩書きで呼び、「あなた」をなるべく避ける込み入った作法があった。1960年代、それを一気に崩したのが「du改革」だ。ほぼ一夜で、王族以外の誰でも、親しい呼び方の du で呼ぶのが当たり前になった。
この言語でしか言えない言葉
歴史をひとことで
スウェーデン語のもとは、バイキングの時代に北欧で話された古ノルド語だ。それが東西に分かれ、東側から今のスウェーデン語が育っていった。
大きな節目は聖書の翻訳だ。1526年に新約聖書が、1541年に聖書全体が「グスタフ・ヴァーサ聖書」として出版され、書きことばの手本になった。1786年には国王グスタフ3世がスウェーデン・アカデミーを作り、ことばの「純粋さ、力強さ、気高さ」のために働くことを目的とした。いまはノーベル文学賞の選考でも知られる機関だ。1906年の綴り改革では、hvad が vad になるなど、v の音の書き方が整理された。
いま、この言語は
危機度は「安全」。教育・報道・行政のすべてで使われ、2009年の言語法は、スウェーデン語を主要言語と定めるとともに、サーミ語やフィンランド語など5つの少数言語を守ることも書きこんだ。
フィンランドでは、話し手の割合は少しずつ減ってきたが、スウェーデン語で学べる学校や大学、テレビ局がいまもある。ひとつの言語が、2つの国でそれぞれの形を保っているのだ。
ことばカード
もし学ぶなら
おすすめの入り口
文法はゲルマン語のなかでも素直なほうで、動詞は人称で形が変わらない。jag är(私は〜だ)も du är も han är も、全部 är でいい。英語を知っていれば、似た単語にもたくさん出会える。
山は発音、とくに長短の母音と2つのアクセントだ。単語はかならず音声といっしょに覚え、高さの上がり下がりごと真似したい。最初のひとことは、短くて使い勝手のいい「タック」から。
話し手の数は推計で、資料によって幅があります。音声は端末の合成音声で、話者による録音ではありません。