どこで、誰が話している?
テルグ語は、インド南東部のアーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナ州を中心に話されている。現地での名前は తెలుగు(テルグ)。2011年の国勢調査では、母語の話し手が約8,300万人、第二言語として使う人が約1,300万人で、合わせると約9,600万人になる。
母語の話し手の数ではインドで4番目、世界でも14番目に多い。2つの州の公用語で、プドゥチェリーのヤナム地区でも公用語になっている。ヒンディー語以外で、複数の州の第一の公用語になっている数少ない言語のひとつだ。
どんな音がする?
いちばんの特徴は、単語の終わりがほとんど母音になること。古典テルグ語では例外なくそうで、いまの話し言葉でも m・n などで終わる語は限られる。15世紀にこの地を訪れたヴェネツィアの旅行家ニコロ・デ・コンティは、それをイタリア語に重ねて「東洋のイタリア語」と呼んだ。
舌先をそらせて出すそり舌音や、息を強く出す音も持っていて、l に聞こえる音は ల と ళ の2つを区別する。「ありがとう」の ధన్యవాదాలు は、カタカナにすると「ダンニャヴァーダール」に近く、最後はやはり母音の u で閉じる。
どんな文字で書く?
使うのはテルグ文字。子音に母音の記号をくっつけて1文字をつくるタイプの文字で、母音が16、子音が41ある。古代インドのブラーフミー文字から分かれ、となりのカンナダ語の文字とは長く同じ形をしていて、2つが分かれたのは1300年ごろとされる。
見た目はとにかく丸い。多くの子音字の頭には、V字のような小さな印タラカットゥが乗る。丸い形は、尖った線でヤシの葉を裂かないように鉄筆で書いたからだ、とよく説明される。ただ、これはいまも研究者が確かめている途中の説である。
文法のクセ
語順は日本語と同じ主語・目的語・動詞。単語どうしの関係は、うしろにつける部品だけであらわし、前や中に何かを差しこむことはない。日本語の「て・に・を・は」に近い感覚で組み立てられる。
そしてタミル語と同じく、「私たち」が2つある。聞き手を含む「私たち」は మనం(マナム)、聞き手を含まない「私たち」は మేము(メーム)。同じドラヴィダ語族の、家族の似かたが出ているところだ。
この言語でしか言えない言葉
歴史をひとことで
テルグ語の単語は、紀元前4世紀ごろのバッティプロールの碑文に、すでに顔を出している。全文がテルグ語で書かれた最初の長い碑文は575年のもので、南部のカダパ地方で見つかった。1022年には詩人ナンナヤが、インドの叙事詩『マハーバーラタ』のテルグ語版を書きはじめた。
16世紀のヴィジャヤナガル王国の王クリシュナデーヴァラーヤの時代は、テルグ文学の黄金期と呼ばれる。王はサンスクリットではなくテルグ語で叙事詩を書き、その一節がいまもテルグ語の誇りとして口にされる。
いま、この言語は
話し手が多く、危機度は「安全」。2008年にはインド政府から「古典語」に認められた。学校で教わるのはサンスクリット語の影響が濃い書き言葉で、話し言葉は地域ごとに違いがある。ハイデラバードのテルグ語には、ペルシア語やアラビア語から入った単語も多い。
海の向こうでも広がっている。アメリカには40万人を超えるテルグ系の人々が住み、2010年から2017年にかけて話し手が約86%増えた。アメリカでいちばん速く話し手が増えている言語、と紹介されることもある。
ことばカード
もし学ぶなら
おすすめの入り口
まずは文字を「16の母音×子音」の表として覚えるといい。子音の形に母音の記号がつく規則がわかれば、丸い文字の見分けがぐっと楽になる。となりのカンナダ文字とも形が近いので、片方を覚えるともう片方も読みやすくなる。
次に、単語が母音で終わる響きを耳で覚えたい。教科書の書き言葉と、地域ごとの話し言葉には差があるので、あいさつや数字のような短いことばから、実際の発音を聞いて覚えていくと入りやすい。
話し手の数は推計で、資料によって幅があります。音声は端末の合成音声で、話者による録音ではありません。