どこで、誰が話している?
中国語の北京語(標準中国語)は、母語話者の数が世界でいちばん多い言語だ。母語として話す人は約9億9,000万人、第二言語の話し手を合わせると約11億8,000万人になる。
中国本土では「普通话(プートンホア、ふつうのことば)」、台湾では「國語(国のことば)」と呼ばれ、どちらでも公用語になっている。シンガポールでも4つの公用語のひとつで、国連の6つの公用語にも入っている。標準の発音は、北京の話しことばがもとになっている。
どんな音がする?
いちばんの特徴は声調だ。同じ音でも、声の高さの動き方で意味が変わる。北京語の声調は4つで、これに軽く短く読む「軽声」が加わる。
高く平らに伸ばす1声、下から上がる2声、低くおさえる3声、上から一気に落とす4声。音節の種類は、声調を無視すると約400しかないが、声調で分けると約1,300になる。
声調は隣の音で変わることもある。3声が2つ続くと、前のほうが2声になる。だから「你好」は nǐ hǎo と書いて、ニーハオの「ニー」を上がり調子で読む。
どんな文字で書く?
書くのは漢字だ。いちばん古い記録は、紀元前13世紀ごろに亀の甲や牛の骨に刻まれた甲骨文字である。字の数は多く、1994年の『中華字海』には約8万5,000字が収められ、文字コードの規格ユニコードには10万字を超える漢字が登録されている。
ただし、ふだん使う字はずっと少ない。よく使う語彙を書くのに必要なのは約3,500〜5,000字で、2013年に中国が定めた『通用規範漢字表』は8,105字である。
中国本土とシンガポールでは、画数を減らした簡体字を使う。1956年に方針が発表され、書は书、車は车になった。台湾・香港・マカオでは、もとの形の繁体字を使い続けている。発音を示すローマ字はピンインで、1958年に正式に採用された。
文法のクセ
動詞は、主語や時によって形を変えない。「わたしが行く」も「彼が行った」も、動詞は同じ「去(チュィ)」のまま。時は「きのう」「あした」などのことばや、文につく小さな語で表す。
そのかわり、数を数えるときは量詞が欠かせない。日本語の「1冊」「1枚」に近いが、ずっと細かい。本は「一本书」、紙や机のような平たいものは「一张」、細長いものは「一条」。迷ったときに使える万能の量詞が「个(ゴ)」である。
この言語でしか言えない言葉
歴史をひとことで
中国は地域ごとの話しことばの差が大きく、広東語のように会話では通じない言語も多い。そこで20世紀に入ると、国じゅうで通じる共通語づくりが進んだ。1932年、北京の発音を標準とすることが決まる。
1949年の中華人民共和国の成立後は、これを「普通话」と呼んで広めた。1958年には周有光らがつくったピンインが正式に採用され、1982年には国際標準化機構(ISO)の規格にもなった。
いま、この言語は
危機とは無縁の大言語だ。国連の公用語のひとつで、中国本土・台湾・シンガポールの学校でも教えられている。
入力の方法も変わった。いまはピンインで音を打ちこみ、候補から漢字を選ぶのがふつうだ。手で書く機会が減り、読めるのに書けない字が出てくる現象は「提笔忘字(筆をとると字を忘れる)」と呼ばれている。
ことばカード
もし学ぶなら
おすすめの入り口
日本語を話す人は、漢字の意味がだいたい読める分だけ有利だ。ただし簡体字は形が変わっている字も多いので、日本の漢字と見比べながら覚えるといい。
最初の山は声調である。ピンインの記号を見ながら、ma の4つの声調を口に出すところから始めたい。単語はかならず声調ごと覚える。ここを後回しにしないことが、通じる中国語への近道になる。
話し手の数は推計で、資料によって幅があります。音声は端末の合成音声で、話者による録音ではありません。