あらすじ
ウルクの王ギルガメシュは三分の二が神、三分の一が人。強すぎて民が困り、神々は対抗者として野人エンキドゥを作る。二人は闘い、そして親友になる。
二人は杉の森の番人フンババを倒し、女神イシュタルの求婚を断り、送り込まれた天の牛も倒す。神々は罰としてエンキドゥを病死させる。
友の死を目の当たりにしたギルガメシュは、初めて自分も死ぬことに気づき、恐怖する。不死を求めて世界の果てへ旅し、大洪水を生き延びて不死を得た唯一の人間ウトナピシュティムを訪ねる。
ウトナピシュティムは「六日七晩眠らずにいられたら」と試すが、ギルガメシュはすぐ眠る。帰り際、海底に若返りの草があると教えられ、それを手に入れる。しかし帰路、泉で水浴びをしている間に蛇が草を食べて脱皮し、去っていく。ギルガメシュは手ぶらでウルクに帰り、城壁を見上げる。
読みどころ
これは世界最古の文学作品のひとつで、テーマは「人は死ぬ、それをどう受け入れるか」。不死を得た男に会い、草まで手に入れて、それでも失敗する。最後に主人公が見るのは自分が建てた城壁で、詩はその城壁の描写で始まり、同じ描写で終わる。残るのは、生きた人ではなく、作ったもの。
第11書板の洪水の話は、旧約聖書のノアの箱舟とほとんど同じ筋で、聖書より千年以上古い。1872年にこの粘土板を解読したジョージ・スミスは、興奮のあまり大英博物館で服を脱ぎ始めたと伝えられる。
世界の似た物語
手に入れた若さを、うっかりで失う話。浦島太郎は開けてはならない箱を開けて老人になる。アイルランドのオシーンは馬から降りた瞬間に三百年分老いる。旅の型としては、父に疎まれて遠征を繰り返し、最後に死ぬ倭建命が、英雄の孤独という点で近い。