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ことばのはなし — 数
eleven · twelve · 十一

「eleven」と「twelve」はなぜ特別なのか——11と12の言い方

13から19は「3と10」の形なのに、11と12だけは別の語。語源をたどると「10を数えて、1つ残り・2つ残り」という意味が出てくる。

2026-10-23 / 言語と物語の図鑑 編集部

eleven は「1つ残り」、twelve は「2つ残り」

英語の13から19は thirteen・fourteen… と、どれも「3と10」「4と10」の形をしている。なのに11と12だけは eleven・twelve で、「10」の気配がない。

語源をたどると、この2語にも隠れた意味がある。eleven はゲルマン祖語の *ainalif、twelve は *twalif にさかのぼる。前半は「1」と「2」、後半の *-lif は「残る」を意味する印欧祖語の語根 *leyp- から来ている。つまり eleven は「(10を数えて)1つ残り」、twelve は「2つ残り」だ。

同じ作りはドイツ語の elf・zwölf、オランダ語の elf・twaalf、アイスランド語の ellefu・tólf にも残っている。ゲルマン系の言語は、そろって11と12を特別扱いしているのである。なぜ12で止まり、13から「3と10」に変わるのかは、はっきりわかっていない。

19まで「残り」で数える言語——リトアニア語

ゲルマン系の外で、この「残り」の作りを持つ言語がひとつだけある。リトアニア語だ。11は vienuolika、12は dvylika。後半の -lika がやはり「残り」を表す。

違うのは、リトアニア語ではこれが12で止まらないことだ。13 trylika、14 keturiolika と続き、19 devyniolika まで、すべて「〜つ残り」で言う。英語の eleven・twelve は、もしかするとかつてもっと長く続いていた列の、最初の2つだけが生き残った姿なのかもしれない。ただ、リトアニア語とゲルマン系のどちらが先か、借りたのか共通の祖先から受け継いだのかについては、説が分かれている。

フランス語は16まで、スペイン語は15まで

ラテン語の11から17は undecim(1と10)、duodecim(2と10)と、どれも「1の位+10」の形で、規則正しかった。ところがそこから生まれた言語では、音がすり減って10の部分が見えにくくなり、その「特別な数」の範囲が言語ごとにずれた。

言語ひとまとまりの特別な語規則的な形に変わる数
英語・ドイツ語11・1213から(thirteen = 3+10)
スペイン語11〜15(once … quince)16から(dieciséis = 10と6)
フランス語11〜16(onze … seize)17から(dix-sept = 10+7)
イタリア語11〜16(undici … sedici)17から(diciassette)

イタリア語は16までが「1の位が先」、17からは「10が先」と、語順まで入れ替わる。スペイン語の dieciséis はもともと diez y seis(10と6)を縮めた形だ。ウェールズ語の伝統的な数え方は、さらに独特で、11は un ar ddeg(10の上に1)、15は pymtheg(5と10)、16は un ar bymtheg(15の上に1)と、15をもうひとつの区切りにしている。

極端なのはヒンディー語で、11の gyārah、12の bārah にとどまらず、1から99までのほとんどの数がそれぞれ不規則な形を持ち、ひとつずつ覚えるしかない。100を超えると、ようやく規則的になる。

数え方の差は、子どもの数え方の差になる

中国語の11は 十一(10と1)、12は 十二(10と2)。21も 二十一 で、10の位と1の位がそのまま語に並ぶ。

心理学者ケヴィン・ミラーらが1995年に発表した研究では、アメリカと中国の就学前の子どもに数を唱えさせた。12まではほぼ差がないのに、その先で差が開き、中国の子どもの方がおよそ1年早く大きな数まで数えられるようになっていた。アメリカの子どもは11のあたりでつまずく子が急に増える。研究者は、英語の11〜19が規則から外れているため、ひとつずつ覚えなければならないことが一因だと考えた。一方で、少ない物の数を数える力や簡単な計算では、ほとんど差は見られなかった。差が出るのは「数の名前を覚える」ところに限られていたのである。

で、日本語はどうか

日本語の「じゅういち」は中国語と同じ「10と1」で、規則正しい側にいる。韓国語も、漢語の 십일(十一)、固有語の 열하나(10と1)のどちらも素直な足し算の形だ。

ただ、日本語にも別の段差がある。固有の数え方「ひとつ・ふたつ…ここのつ・とお」は、ふつう10で終わり、11からは漢語の「じゅういち」に乗り換える。英語は11と12で、日本語は11の手前で、数え方の切り替えが起きているわけだ。索引から各言語の数の言い方を見くらべると、どこで「規則」が始まるかに、その言語の歴史がのぞいている。

11と12は、10を数えたあとの「残り」だった。どこまでを特別な語にするかは、言語ごとに少しずつずれている。eleven・twelve と vienuolika・dvylika